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佐野陽子ゼミナール同窓会は、慶応義塾大学商学部「佐野陽子研究会」所属の卒業生の交流の場として発足しました。

佐野先生からのメッセージ

2013年1月 
年頭のひとこと ―経済大国から文化大国へー」
 「クルマと家電が外資を稼ぐ時代は終わった」というのは、櫻井孝昌という文化外交活動家の言です。櫻井は外務省の委託で、2007年から世界16か国38都市を回っています。その目的は、日本のアニメが外交で重要な役割を果すよう、各地で講演やコスプレやアニメソングなどのイベントを開くためです。
日本のマンガやアニメが、世界中の子供たちに親しまれていることはよく知られています。櫻井たちは、どこの土地のイベントでも、若者から熱烈な歓迎を受け、日本語のアニメソングを歌い、コスプレやロリータのアニメ衣裳が浸透しているのに驚きました。そして彼らは日本の文化にも興味をもち、その延長線上で日本語や将棋や大福も知ろうとしているのです。モスクワでも、ブラジリアでも、パリでも、バルセロナでも、そしてもちろん中国やアメリカでも大歓迎を受けたそうです。ところがそのようなところに、日本人は全くいなかったとのこと。櫻井に言わせるとせっかくの商機なのに。

 ドバイの銀行で働いている女性の話ですと、あちらの日本アニメブームは大変なもので、大の大人がアニメに詳しいことにびっくりするそうです。出店している紀伊国屋書店やマンガ寿司もその足がかりになっています。また、家庭でもよくアニメのビデオパーティを開き、アニメの集会があるとド派手なコスプレ衣裳で勢ぞろいするそうです。
 「天才でごめんなさい」というテーマで、2013年3月まで会田誠展が森美術館で開かれています。先だっては珍しく、ロンドン・エコノミストに紹介されました。東京芸大卒47歳の会田誠は、谷中墓地で結婚式を挙げたという現代アーティスト。エロ・グロ・暴力も含め、日本のポップカルチャーのチャンピオンです。これまでのアーティストが海外で有名になり逆輸入されていたのに、会田は外国嫌いで日本からカルチャーを発信しています。
 アニメや現代アートだけでなく、音楽・映画などのエンターテインメントにおけるジャパンカルチャーは、この平和の時代に花開いています。よその国で作れるものを作ってよその雇用を奪うのは悲しいこと。今や日本は、世界の人が喜ぶものを輸出できるのです。それも、世界の若い人たちから熱烈歓迎されるジャパンカルチャー。私たちの未来は、ほかのどの国よりも明るいのでは?


バナースペース

佐野陽子ゼミナール同窓会