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佐野陽子ゼミナール同窓会は、慶応義塾大学商学部「佐野陽子研究会」所属の卒業生の交流の場として発足しました。

佐野先生からのメッセージ

2009年11月23日 
ドバイの悩みは人材育成というが
 ドバイは世界一、外国人の比率が高い都市。人口は、金融危機下でも増えて170万人程度。だが、いまやナショナル(国民)の比率は20%を切り、当局の不安をつのらせている。ナショナルは、公務員や大企業など安定雇用に集中し、優秀な外国人を管理監督する立場。一部のナショナルは留学経験があるものの、全部が能力ありとは限らないのでナショナルの人材育成が焦眉の急と言われている。
ある日本人女性が勤務する銀行でも、一定割合をナショナルで埋めねばならないから何人も働いているが、仕事力が間に合わず常に彼女をいらいらさせている。ところが昨年の大晦日、彼女が隣国サウジアラビアの砂漠に行きたいと言っていたらカウントダウン・キャンプを計画してくれたそうだ。
ドバイから車で、夜の国境をGPS頼りにこっそり越えた。砂丘を2時間も走ってテントを張る場所を探し、手早くテントを張って準備万端。彼らは、月や太陽や星の位置や砂丘の地形を見る力、さらにテント捌きも抜群。さすがベドウィン(遊牧民族)のDNAを受け継いでいると感心。
用意が整うと、誰言うともなく、彼らは声を発してお祈りを始めた。いつもはお祈りもしないし酒も飲むのに新年だからかと後で聞いたら、ガザのパレスチナ人のために祈ったという。当時のイスラエルによるガザ空爆に対して、西側諸国にくみするドバイでも抗議デモが起こっていた。大砂丘にアラビア語の美しい祈りの声が響き、風の音に消えて行ったそうだ。その後は、新月の光の下で飲み明かし、語り明かしたという話。

2009年4月29日 
世襲制って時代後れ?
 日本とは付き合いの浅い中東などへ、お客として行ったとします。初めて会った挨拶の中に、「天皇はお元気ですか」と尋ねられて面食らうことがあるそうです。「ええ、まあ」とか答えておくとします。すると帰りに、「天皇によろしく」と言われるとか。海外から日本を見たときに、名前もろくに知らない総理大臣によろしくとは言わないでしょう。でも、天皇や皇后はよく知られているのです。
ドバイの経済発展は、ハブ港湾やハブ空港から人工島まで、1971年の建国のころより当時の首長の頭に画かれていました。 いまはそれから3代は経ていますが、その計画は見事に受け継がれ、いまや1人当たりGDPは日本を超え先進国以上の水準。この繁栄がもたらされたのは、世襲によるリーダーたちの継承なくしてはありえなかったでしょう。
国づくりや地域おこしは、何代も重ねて実るものが少なくありません。世界中の会社を見たときに、社長のほとんどは世襲です。世襲は、文化や思想を永く伝えようとする人の願いから起こったもの。一概に、いいとか悪いとか決めてもらっては困ります。
2009年1月1日 
年頭にあたってー知の交歓のすすめー
 昨年は、なんといっても経済面で波乱万丈の年でした。個人も企業も、何らかの被害を受けていると思います。でもこの損害は、誰に賠償してもらえるものでもありません。自分の身は自分で守る、ということを教えてくれました。
では守るためには、何をしたらいいのでしょうか。セキュリティといっても鍵をかけるのではなく、知恵を働かせるしか方法がありません。「ペンは剣より強し」、といいますが、福澤先生が上野の大砲の音を聞きながら芝の慶應義塾で経済の授業をしていたというのは、今で言えば、「言論はミサイルより強し」でしょうか。
同窓会会員は現在、626人。定期的にテーマを定めて、ホームページで意見を集めるのはどうでしょうか。例えば、金融危機や少子化などについて、皆さんの考えや新しい情報などをぜひ聞きたいものです。

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