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佐野陽子ゼミナール同窓会は、慶応義塾大学商学部「佐野陽子研究会」所属の卒業生の交流の場として発足しました。

佐野先生からのメッセージ

2014年1月 
年頭にあたって 「消費増税は景気の足を引っ張るか」
消費増税の影響

 2014年4月から消費税が5%から8%に上がります。その結果、購買力が落ちて景気に悪影響を及ぼすのではないかという心配があります。過去の例を振り返ると、1989年に初めて3%の消費税が導入されましたが、駆け込み需要が旺盛で、その後の買い控えも一時的だったようです。ところが、1997年に消費税を5%に上げたときは、駆け込み需要があまりなく、さらに消費の回復が遅れました。これは、1989年がまだバブル期にかかっていたため、早く買わないと、という消費者心理が働いたのに対して、1997年は世界的にも景気が悪かったため、先行きどうなるかという不安感が大きかったためと言われています。 つまり、景気がよければ消費の回復が速いということです。 それでは、2014年はどうでしょうか。

アベノミクスによる経済成長戦略の行方

 2013年の日本の景気は、強力な金融・財政政策によって大きな成果を挙げました。他の国にくらべてダントツというわけではありませんが、20年にわたる停滞期からすると驚異的です。この余熱で今年もいい線を行くのではとも予想されます。ここで日本がアベノミクスによって経済再生ができるのではということで、2013年は世界の投資マネーが集まりました。資産価格は上がり消費も回復しました。ところが、規制緩和などが予定通りに進まないと、逃げ足の速いのもマネーです。改革は時間との勝負です。

好景気を実感できない人が多い

 景気がいいという数字を見ても、好況感を感じられない人が多そうです。 これまでの景気は、輸出産業や資産を持っている人は実感できても、そうでない人や中小零細企業の関係者までは行き渡っていないからです。とすると、消費増税の影響は案外、厳しいことになるかもしれません。アベノミクスの根幹にあるのは、ハードな伝統的な産業です。要人は外国で原発や鉄道を売りに歩いています。防衛産業や宇宙産業、さらに公共土木事業などは、経済競争が働かず国策によって野放図なほど巨額なお金を動かして、国債の発行に寄与しています。要するに、一般の勤労者や中小企業には好況感がまだ伝わらないのです。 好況感に不可欠な雇用創出とスモールビジネスの強化 これまで手薄だったのが起業・転業を含めたスモールビジネスです。旧来の中小企業というよりも新しい事業が望まれます。例えば、海外で人気が高い、アニメ、マンガ、現代アート、音響、フィルムそして和食など、ジャパンカルチャーです。日本政府も以前からクールジャパン計画をたて、観光に力を入れてきました。現代の雇用や仕事のほとんどは、サービス関連産業で生まれています。そしてオタク文化の振興は、若者やフリーターを元気づけます。ニッチや草の根にあたるスモールビジネスと雇用の振興は、一般の好況感を増すことでしょう。

バナースペース

佐野陽子ゼミナール同窓会